こんにちは。国際金融アドバイザーの大田一耕史です。記念すべき第1回は、投資初心者の方に向けて日本人が知らされていないグローバルスタンダードの資産形成術について簡潔にお話します。これさえ読めば
・資産形成とは何なのか?
が一発でわかるように書いていますのでしっかりついてきてください。
「何を今さら。そんなこと知ってるよ。」
という方もいらっしゃるかもしれませんが大いに勘違いしている方がたくさんいますので、しっかり基本に立ち返って正しい資産形成を身につけていただきたいと思います。
資産形成とは?
そもそも資産形成とは?それは資産を形成することです。
「え?バカにしてるんですか?」と思われるでしょうがとても大事なことなので二回言います。
「資産」を「形成する」ことです。
なぜこれほどしつこく言うのかというと、銀行や証券会社、保険会社に勤めるような金融のプロと呼ばれる人たちですら、間違ったままその言葉を使っていたり、日々の業務の中で本質を忘れてしまっていることが多いのです。現にその方達は資産を形成できていない方がほとんどなのです。
また「お金がないから資産形成は難しいです!」と言われる方がたまにいますが、このように「資産形成や資産運用はお金がある人がするもの」といった誤った考え方すらこの国には蔓延しています。資産がないから今から作っていくんですよね?こうして勘違いしている人が非常に多いのです。では
資産とはなんでしょうか?
不動産?お金?株?船?車?いろんな答えが返ってくると思いますが全て合っているようで間違ってもいます。そろそろ答えをいいます。
「資産」とは、「お金を生み出すもの」のことです。
これを10回唱えて確実にあたまに入れてください。資産とはお金を生み出すもののことなんです。また資産の対義語は負債で、負債とは「お金が出ていくもの」のことを言います。
不動産を持っていてもローンを組んでご自身で住んでいたら、これは負債です。しかし誰かに貸して家賃収入を得ていたらこれは立派な資産になるのです。船だろうが、車だろうが「何を持っているか?」ではなく、それそのものが「お金を生み出している」かどうか?なのです。
富裕層であればあるほど、この「資産=お金を生み出すもの」にしかお金を使わないというくらい支出管理を徹底していますし、この記事を読んで初めて資産形成の考え方について知った方は、たしかに資産って持っていないなと気づかれることだと思います。
「お金を生み出すもの」を作ろうとしない限り手に入りませんし、資産を作ろうと生きている人ほど多くの資産を保有しています。要は資産を持っているか持っていないかは、生まれつきの能力だとか生まれた家柄ではなく、
ただ「考え方」とそこから生まれる毎日の習慣なのです。
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資産には4つのステップがある
資産には4つのステップがあります。
資産形成とは1000万円までの資産を作るまでの初期段階
です。特にこのステージではできるだけお金を使わずに築き、年利8%以上で積極的に運用し続けることが必要です。年利8%以上で運用し続けることなんて可能なのか?とマイナス金利が強いられる日本では想像することすら難しいかも知れませんが、世界に目を向けてみると資産形成に適した金融商品では平均利回り8~12%前後で運用し続けられるものは世界中にいくらでもあります。またこの詳細は別の記事でお伝えしていこうと思います。
1000万円以上のまとまった資金ができたらそれを運用していく段階。これが資産運用です。ここからはまとまったお金を運用していくというステージに入ります。資産運用という言葉はいろんな方が口にしますが、資産を作るにはまずは資産形成からなんですね。
そして億に近い資産になってくると、次は資産保全という守る段階に入っていきます。ここからはリスクをとってガッツリ増やそう!なんていう方は稀ですから、カントリーリスクなども考慮した上でプライベートバンクやオフショア管理口座などを通じてマーケットに左右されづらい安定的な運用をしていきます。
そして最後にくる4つ目のステップは資産継承です。継承なんて考えたことはないかもしれませんが、オールドリッチと呼ばれる富裕層ほど自分で築いた資産を次の世代へどう継承していくか?その出口から考えて、今まで受け継いできた資産を自分の代でさらに増やし守り、そして子供、孫に継承していくことを当然考えています。自分の人生だけでなく、家系、ファミリーを繁栄させるために資産を増やし次の代へ継承していく。すごく豊かな考え方だと思いませんか?
現在の金融の仕組みを創ったヨーロッパにはそれを実現する金融商品がたくさんあります。中には120年間運用できる継承を前提とした金融商品があるくらいです。これから皆さんが作っていく資産は、形成の段階から始まり、増やし、守り、そして次の時代へ継承していく。ですから一番始めでこけるわけにはいきません。ですが
「形成」の段階が実は一番難しいのです。
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する
資産の4ステップの中で資産形成が一番難しいのはなぜか?それは
使ってしまうからです。
日本では昔から貯金が生活習慣に根付いていますので、この法則は当てはまらない人もいるとは思いますが、貯金が全くできないという人が多いのも事実で
20代で貯金がゼロという方は61.0%もいます。
※「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)金融広報中央委員会2017年調べ
現に私は妻と結婚する27歳まで若くして貯金をするやつなんてバカだと思っていたくらいなので、稼いだお金のほとんどを使っていました。稼いだら使う、収入が上がればその分生活コストが上がる。これを繰り返していては資産など作れるはずもありません。これは法則としても提唱されているくらいで、1958年にイギリスの歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンはパーキンソンの法則の第2法則に
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する
と唱えました。 たくさん働いて、収入が増えれば増えるほど、それに比例するように支出も増えてしまう。 収入の割には貯金がなかったり、臨時の収入があってもいつの間にか消えてしまったりするのも、この法則が働いているからなのです。
ではどうしたら支出をコントロールできるのか?それは
収入から一部を資産形成にあて、残りで生活をする。
に尽きます。人生にたったこの考え方を取り入れるだけで誰もが資産を作る一歩を踏み出せるのです。たまに「今は生活がカツカツなので給料が上がったら資産形成を始めたいと思います」という方がいますが、例えば25万円で資産形成に取り組まない方が28万円に上がったからといって、その上がった3万円を資産形成に充てるでしょうか?答えはもうおわかりですよね。
では収入のうちどれくらいを資産形成に充てればいいのか?どれくらいを使っていいのでしょうか?
目安としてはこのように
収入の2割を資産形成に充てる
です。また今の時代、自分のスキルアップや複業を増やしたりと自分自身への投資は欠かせません。自己投資には収入の2割を充てたいものです。
家賃光熱費などの固定費が3割。そして残りの生活費として3割。これが支出管理の黄金比と言われています。
なんだか窮屈そうだなと思うかも知れませんがいままでこのような考え方で支出管理をしてこなかった結果、多くの方が資産が作れていないのが実情です。
30年ほど前までの日本では特に何も考えなくても、国が年金を、企業が退職金を用意してくれたり、また銀行にお金を預けておけば年間6-7%増えていくような時代だったのです。しかしそんな時代はとうに過ぎ誰もが100年を生きる時代に入っていく今では
資産形成の考え方を持たない限り必ずどこかで破綻する
ことになります。これは金融センターと呼ばれる香港やシンガポールでは初等教育の金融教育で教わることですが、金融教育のない日本においてはお金の稼ぎ方以上に、お金の増やし方、お金の使い方については誰にも教わる機会がありません。
お金は諸悪の根源とする親からの教育で擦られたまま生きていくと、死ぬまで資産を作ることに恵まれることはないのです。
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時間を味方につける
では具体的に資産形成のステージでは、どうすれば資産を作ることができるのでしょうか?誰でもできる最強の資産形成法。それは
毎月積み立てをし複利運用をする
ことです。今回は投資初心者の方向けに書いていますのでまずは複利ってなに?ということから説明していきます。日本にいると、特に失われた20年世代は「金利が付く経験がない」ので「単利」しか経験しない結果、「複利」と言われてもピンと来ない人が圧倒的だそうです。ですが、大前提は中学生でも分かる「算数」です。
これを知っているか知らないかでこれからの人生が大きく変わってきますので、知らないと損する話としてしっかり頭に入れてくださいね。
(“Compound interest is man’s greatest invention. He who understands it, earns it. He who doesn’t pays it.”)
例えば100万円を元本に「年間利回り10%の単利」と「年間利回り10%の複利」で30年間運用した場合を比較していきましょう。
「単利」は預け入れた元本に対してのみ利息を得られる計算方法で、主に日本国内の国債や社債などの金融商品の金利は通常単利で表示されています。
「複利」は一定期間ごとに利息を元本に組み入れ、その元本に対して利息が計算される方法です。
利息が再投資されることにより加速度的に運用効率を上げる
ことができます。表の1~3年目は単利と複利に僅かな差はあれどその差は明確に分かりづらいですよね。しかし20年目には倍、30年目には4倍の差がついています。
このように目先の利益に囚われやすい多くの個人投資家や、投機やギャンブルが好きな方は、複利の効果を得ることなく資産を築く機会損失をしています。複利運用で資産を築くには時間を味方に付ける必要があります。それには
いつどういう資産を築くのか?というゴールを明確にする
必要があるのです。
凡人でもできる最強の資産形成術
100万円なんて大金ないよ〜。という方でもご心配なさらず。資産をこれから作っていきましょうというお話ですから、資産形成をするのにまとまったお金は必要ありません。タイトルにある通り凡人でもできる方法をお伝えしています。前述した、収入のうちから資産形成に充てる割合を覚えていますか?
そう。2割ですね。
収入が25万円の方は5万円。35万円の方は7万円。日本の平均収入は440万円。課税所得(手取り)は約350万円ですから、これを月に直すと29万円となります。こういった平均的な収入を得ている方でその2割は毎月5万8000円となりますから、少し低く見積もって5万円を積立て行くと仮定しましょう。
ではこの複利の効果を味方につけ毎月一定額を積立していくとどう資産を築いていけるのでしょうか?以下は毎月5万円を25年間積み立てた場合における利回り別のシミュレーションです。
5万円を25年間積立をすると1500万円を積み立てたことになります。これが元本ですね。
これを日本の銀行や保険会社のようにほとんど金利がつかないような場所で運用していくと25年後に1503万円となります。ま、まぁつかないよりは嬉しいけど… 運用されているとは言い難い数字ですよね。日本ではなぜこれほど金利がつかないのか?ということもご説明したいですがここでは長くなりそうなのでまたどこかの記事でご説明します。
しかし世界中の金融商品にアクセスでき、適切な場所で適切な運用をしていくと8~12%で運用していくことができます。金融機関の手数料を引いても6%では運用されていきますから低く見積もっても
25年後に倍の約3000万円以上。10%を超えてくると約7000万円ほどの資産を形成することが可能
です。これはすごい!そんな事本当にあるのか?と思われる方もいるとは思いますが、すごいことでもなんでもなくこれがグローバルスタンダードなのです。
日本が金融において遅れを取っている。金融教育が全く行われていない。また金融鎖国を行っているため世界中の優良な金融商品の情報を得ることが難しい。ただそれだけの理由なのです。
この試算があればいつリタイアするのか?これからどういうライフスタイルを過ごすのか?の見通しが立ちますよね。多くの人が何歳にリタイアしたいのか?どんな人生にしていくのか?について答えられない大きな理由は
この資産形成の考え方を持っていない
からです。これからのスタンダードは複業と資産形成といいますが、そんなことは当然のことで日本の常識が遅れているだけでやっている人はやっています。正しい資産形成法を身に着け、今から資産形成を始めてさらなる豊かな人生を築いていきましょう。
今回は正しい資産形成術の考え方についてお伝えしましたが、資産形成に限った話ではなく、人生における「時間の使い方」にも「複利運用」が適用されると思います。「2度と戻らない今の時間」を何も考えず日々の生活のために無為に使うのか、もしくは自分の成長の為に学んだり新しくなにかに挑戦するのか?
「学び」というのは難しいもので、単に自己満足の「学び」で終わってしまう人が多いのが現実です。いくら学んでも結局「学びながら実践しないと本当には理解できない」ので、結局行動まで落とし込めるかどうかが、長い人生の「複利運用」において重要ですね。
それは間違いなく何年後、何十年後に大きな差となって返ってきます。
こんにちは。国際金融アドバイザーの大田一耕史です。日々資産運用について情報発信をしていて、一番よくいただくお問合わせが「年金対策」について。 「お金を増やしたい!」というポジティブで積極的なニーズより、どちらかというと「未来の不安を解決し[…]
次回は、資産形成は生涯でどれだけの効果をもたらすか?についてお伝えしようと思います。